ハウルの動く城はダイアナ・ウィン・ジョーンズによるファンタジー小説「魔法使いハウルと火の悪魔」を原作としたスタジオジブリ制作の劇場アニメ作品である。

華やかで社交的な母や妹に比べてひたすら地味なソフィー。家族は彼女を無碍に扱うわけではなく内向的性格を心配してくれている、自分の境遇を周囲のせいにできないので逆に精神的逃げ場が無い。彼女にも普通にオシャレをしてみたいぐらいの感性はあるのだが家族への劣等感も加わり上手く表に出せない。

そんな時にハウルに嫉妬した荒野の魔女の呪いでお婆さんに変えられてしまう。年頃の女性なら、この世の終わりのような境遇だがソフィーの場合はそのネガティブな性格が幸いして、あっさり状況を受け入れ少女の時よりもしっかり者になってしまう。だがこれは中盤、少女に戻りさらに老婆に逆戻りした時の「年をとって良いのは失うものが少ない事」という発言で心境が読める。

恋もオシャレもしてみたいけど前に踏み出せないのが、老婆になった事で開き直れてしまった。この時点で彼女は未だにネガティブだ。ところが強大な魔法をふるう美男子のハウルが第一印象とかけ離れたヘタレだったものだから「私がついていてあげないと」と考え次第にポジティブになっていく。

老化と若返りを繰り返しつつ最後には炎の悪魔にお礼のキスをしたり序盤からは考えられないほど快活で生き生きとした女性となっている。ラストシーンのドレス姿は今までの私服ほど地味過ぎず、母や妹ほど華美過ぎずで彼女の成長を上手く表していた。

後は魔法は綺麗だった。非常に綺麗だった。毒々しいものあったが、最近ありがちな制約とセットで使われる魔法ではなく、ディズニーのミッキーが使うような無限の魔法。とても自由で無限のものだった。非常に綺麗だったと思う。

背景やハウルの動く城内部なども、非常に細かく描写されており、近代ヨーロッパの雰囲気を非常にうまく出しつつも、美しい魔法が非常によいアクセントとなっていたと思う。音楽性の面でも非常に高い評価ができると思います。イメージを広めるのにとてもよく貢献していたと思う。