『まおゆう魔王勇者』(まおゆうまおうゆうしゃ、Archenemy and Hero)は、橙乃ままれによる日本のファンタジー小説作品。人間と魔族との戦争をベースに、経済から農業に至る豊富な知識をリアリティ溢れる描写で描いた。2012年6月28日にテレビアニメ化が発表された。本作品の最大の特徴は、いわゆる「地の文」が存在せず、戯曲のように登場人物の会話のみでつづられていることである。また、登場人物には個人名が存在せず、「勇者」「魔王」「メイド姉」など、作中での立場や肩書きが名前の代わりとして用いられる。
人間と魔族が長く戦争を続けている世界。強大な力を持つ「勇者」は、魔王を倒して人間世界を救うべく魔王の城に乗り込んだ。だがそこで彼を待っていたのは、人間の女性そっくりの「魔王」であり、しかも彼女は勇者と戦おうとはせず、勇者に自分のものとなるよう契約を求めてきた。戦おうとする勇者に、魔王は冷静に人魔間の状況を語り、現在の社会秩序が戦争に依存しており、魔王を倒しても根本的解決にならないことを説く。彼女の願いが終戦による破局でも戦争の引き伸ばしでもない、新たな可能性であること、そのために勇者の協力を求めていることを理解した勇者は、彼女の契約を受け入れる。そしてふたりは勇者と魔王という身分を隠し、一介の剣士と学者として世界の改革に着手した。